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【テラスハウス問題】ネットは実名化になる?どうなるネット規制

先日フジテレビの「テラスハウス」に出演する木村花子さんが自殺により亡くなられました。

原因はご自身のSNSなどに寄せられた誹謗中傷によるものとのことです。

自ら命を断つほど悩まれていたようですね。とても悲しい出来事です。

 

今後こうした問題が起きないよう、様々な対策が講じられることとなっていますが、どのような対策なのか、我々にどのような影響があるのか解説していきます。


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プロバイダ責任制限法って?

今回の出来事を受けて(以前から検討されていたかと思いますが)改正を検討している法律が「プロバイダ責任制限法」です。

現状の法律だと、誰かに誹謗中傷コメントを書かれた場合、その誹謗中傷コメントを書いた人物を特定するのに非常に長い時間と大きな費用がかかってしまいます。これを迅速かつ簡便に使える制度にしようというのが法改正の目的です。

 

具体的に変更されるポイントは誹謗中傷コメントを書いた人物を特定するための手続きが簡略化されることです。誹謗中傷コメントの特定はコメントが書き込まれてから時間が経過するほど困難といわれているので、このような手続きの簡略化という手段を取ったのですね。

 

デメリットはないの?

もちろん今回の法改正はよいことだけではありません。議論されなければいけないのは、表現の自由をどう守るかです。

実は誹謗中傷と判断するのは難しいことで、「しね」とか「クソ」なんかは分かりやすいですが、もし自分とは異なる意見を強い口調で言われたら?誹謗中傷の意図はないのにそう捉えられてしまったら?

こうした誹謗中傷の意図を持たないコメントもこの法律の対象となってしまい、書き込めるコメントが制限されてしまうのでないか。

このような懸念が生じているのです。

インターネットはその匿名性によって世界中の人間が自由に発言できることが何よりのメリットですよね。それではインターネットを実名化して、誰が発言したのか特定しやすくするのはどうでしょうか。時折テレビなどでコメンテーターがこう主張していますね。

本当にインターネットの実名化は効果があるのでしょうか。

 

インターネット実名化の効果は?

ネット規制としてよく話題に上がるインターネット実名化ですが、実は韓国が導入した経験があるのです。

その制度は「情報通信網利用促進および情報保護などに関する法律 」というもので、これは情報通信サービス事業者が一定の条件を満たす掲示板等のサービス利用者する人の本人確認を義務付けたものです。(2007年に導入し2012には違憲として廃止されています。)

この制度の導入以降、誹謗中傷コメント数がどのように変化したかを調査した、柳文珠氏の「韓国におけるインターネット実名制の施行と効果」によると制度を導入しても誹謗中傷コメントはの減少という効果は見られないとしています。

 

もちろん韓国と日本は異なる国ですので、一概にこの結果を鵜呑みにすることはできませんが、少なくともインターネット実名化が今回の問題に対して有効であるとは言えませんね

 

どんな対策が必要?

誹謗中傷のようないじめについてはネットが生まれる以前から続いてきた問題です。これから先もなくなるとは思えません。

ですが対策を講じることでその件数を減らすことは可能だと思います。そのためには、プロバイダ責任制限法の改正のような「事後対策」だけでなく「事前対策」も重要です。

具体的には、学校や家庭における教育、AI技術を駆使した誹謗中傷コメントを書き込んだ利用者への警告など、現代技術を使った対策も考えられますよね。

 

しかし、最も重要なのは書き込まれた相手の気持ちを考える能力ではないでしょうか。日本人は良くも悪くも「空気を読む」と言われ、グローバル化の進む近年ではマイナスの意味合いが強くなっている気がします。しかし、この言葉は「相手の気持ちをしっかり考える」という意味もありますよね。コメントを書き込む前に一度、空気を読んでみてはいかがでしょうか。